本邦の専門学校を卒業し、専門士の称号を付与された留学生に係る事例1について
出入国在留管理庁に公開されている「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
(最終改定令和3年3月)より、許可・不許可の事例について紹介しています。
〈不許可事例〉
(専攻科目と従事する業務内容の関連性以外の判断)
①日中通訳翻訳学科を卒業した者から、輸出入業を営む企業との雇用関係に基づき、月額17万円の報酬を受けて、海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円以上であることが判明したため、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。
②情報システム工学科を卒業した者から、本舗の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき、月額25万円の報酬を受けて、コンピューターによる会社の会計管理(売上、仕入、経費等)、労務管理、顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが、会計管理及び労務管理については、従業員が12名という会社の規模から、それを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと、顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり、当該業務は自然科学または人文化学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術•人文知識•国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。
③ベンチャービジネス学科を卒業した者から、本邦のバイクの修理•改造、バイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき、月額19万円の報酬を受けて、バイクの修理•改造に関する業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等であり、当該業務は自然科学または人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術•人文知識•国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。
④国際情報ビジネス科を卒業した者から、本邦の中古電子製品の輸出•販売等を業務内容とする企業との契約に基づき、月額18万円の報酬を受けて、電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、パソコン等のデータ保存、バックアップの作成、ハードウェアの部品交換等であり、当該業務は自然科学または人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術•人文知識•国際業務」に該当しないため不許可となったもの。
⑤専門学校における出席率が70%であるものについて、出席率の低さについて理由を求めたところ、病気による欠席であるとの説明がなされたが、学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し、不許可となったもの。
⑥ビルメンテナンス会社において、将来受け入れる予定の外国人従業員への対応として、通訳業務、技術指導業務に従事するとして申請があったが、将来の受入れ予定について何ら具体化しておらず、受入れ開始までの間については、研修を兼ねた清掃業務に従事するとして申請があり、当該業務が「技術•人文知識•国際業務」のいずれにも当たらないため許可となったもの。
⑦ホテルにおいて、予約管理、通訳業務を行うフロントスタッフとして採用され、入社当初は、研修の一環として、1年間は、レストランでの配膳業務、客室清掃業務にも従事するとして申請があったが、当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が、当初の研修予定を大幅に超え、引き続き在留資格該当性のない、レストランでの配膳業務、客室清掃等に従事していることが判明し不許可となったもの。
⑧人材派遣会社に雇用され、派遣先において、翻訳•通訳業務に従事するとして申請があったが、労働者派遣契約書の職務内容には、「店舗スタッフ」として記載されており、派遣先に業務内容を確認したところ、派遣先は小売店であり、接客販売に従事してもらうとの説明がなされ、当該業務が「技術•人文知識•国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。
⑨電気部品の加工を行う会社の工場において、部品の加工、組み立て、検査梱包業務を行うとして申請があったが、当該工場には技能実習生が在籍しているところ、当該申請人と技能実習生が行う業務のほとんどが同一のものであり、申請人の行う業務が高度な知識を要する業務であるとは認められず、不許可となったもの。
⑩栄養専門学校において、食品化学、衛生教育、臨床栄養学、調理実習などを履修した者が、菓子工場において、当該知識を活用して、洋菓子の製造を行うとして申請があったところ、当該業務は、反復練習によって従事可能な業務であるとして、不許可となったもの。
反復練習によって従事可能な業務や技能実習生と同一の業務は「技術・人文知識・国際業務」のビザに該当する職務内容とはいえません。高度な知識を要する業務であるのか、同一の業務であるにも関わらず日本人と給与に差がついていないか等について注意が必要です。
文/岡田裕子(おかだ ゆうこ)
申請取次行政書士、行政書士さくら法務事務所代表。
一般社団法人アジア国際交流センター協会ビザ取得アドバイザー。
外国人や外国人を支援する人たちに向けて、おもに在留資格に関する情報を発信している。
