外国人雇用と雇用契約書

※こちらの記事は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について解説しています。

 

外国人を雇用するためには、ビザ(在留資格)の取得が必要となります。

ビザの申請は入国管理局へおこないますが、ビザ申請の添付書類のひとつに雇用契約書(労働条件通知書)の写しがあります。

 

雇用契約書の書き方ひとつをみても、ビザの許可・不許可に影響がでることがあるため、ビザが取れる雇用契約書を作成する必要があるのです。

 

雇用契約書に記載する内容はおもに、

 

①職務内容

②就業場所

③勤務時間

④職務上の地位

⑤給与額

 

等があります。

 

特に気をつけるポイントは、職務内容についてです。

 

実際の職務内容について誤解を受けない記載をするようにしてください。

業界用語などは使わないようにし、誰がみてもどんな仕事をするのかイメージできるように具体的に記載するようにしましょう。

 

製造業など業種によって、生産管理・品質管理などの専門的な業務もあればライン作業などアルバイトでもできる単純作業の業務が混在する職場があります。この様なケースでは、単純労働に従事するのではないかと誤解を受けないように注意が必要です。

 

例えば「生産業務」と記載したとすると、本社などでおこなう生産の工程管理や品質管理などの仕事もあれば、工場内の単純作業もあり、どちらにも取れてしまいます。

この様な曖昧な書き方では、審査官より詳細な説明を求めるように追加書類の提出を求められるか、追加書類の指示もなく不許可になる場合があります。

 

「専用システム搭載の大型コンピューター使用した工程管理・品質管理など」

このような記載であれば、工場内でライン作業をするかもしれないという誤解を受けずに済みます。

 

また、就業場所についても誤解を招かないように気をつけます。

 

例えば、建設業の設計を担当する場合。

就業場所を「本社または現場」と記載したとします。

 

このような書き方では、審査官は設計業務なのになぜ現場に行く必要があるのか。

設計業務とは事務所内でおこなうものではないのか、本当は現場作業をするのではないか。と疑念を持ちます。

 

設計担当者が本当に現場にでる必要があるのであれば、それを職務内容などを詳細に説明した雇用理由書にどのような業務の流れで現場での業務が発生するのか。現場で何をするのかをしっかり説明するようにしましょう。

 

雇用契約書の内容と雇用理由書の内容のつじつまが合うように、曖昧な書き方は不許可のリスクを高めてしまうため、誰が読んでもわかるような記載を心がけましょう。

 

入社後に現場実習や研修がある場合

 

業務をおこなうためには、現場の実情を知っている必要があり入社後に現場実習や研修をおこなう場合もあるでしょう。その際は、必ずそのことを雇用契約書と雇用理由書に記載しておきます。

 

その理由は2つあります。

 

ひとつ目は、高学歴で優秀な外国人材ほど現場実習を嫌がる傾向にあります。

何のために、どのくらいの期間研修がおこなわれるのか、本人にしっかり説明しておきましょう。研修中の離職を防ぐことができます。

 

ふたつ目は、研修の存在を入国管理局に伝えずにビザの許可を受け、研修をおこなった場合不法就労に問われる可能性があります。本来、研修でおこなうような現場での業務は想定されていないビザになるため、研修の実施を入国管理局に認めてもらうことが必要です。

 

就労ビザの申請は、人材の採用段階から始まっているといえます。

雇用契約を結んだあとで専門家に依頼しても、雇用契約書を作り直すところから始めるケースもあります。

 

外国人材の採用は、人材の選定段階から専門家に相談することをおすすめします。

 

 

文/岡田裕子(おかだ ゆうこ)

申請取次行政書士、行政書士さくら法務事務所代表。

一般社団法人アジア国際交流センター協会ビザ取得アドバイザー。

外国人や外国人を支援する人たちに向けて、おもに在留資格に関する情報を発信している。