難民申請は就労するための制度ではない
数年前まで、「難民申請をすれば就労ビザをもらえる」という誤った認識による難民申請者が多くいました。
本来、難民とは、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れ、国際的保護を必要とする人々」と定義されています。
過去、日本ではすべての難民申請者に対して、一律に就労を許可していましたが、本当に、避難生活を余儀なくされ、支援を必要としている難民だけでなく、就労目的で難民申請する人が急増したのです。
いわゆる、偽装難民です。
このような状況をうけて、2018年1月15日、入国管理局はこの運用を見直すことにしました。2019年3月、入国管理局は次のような文書を公開しています。
難民認定申請をすれば日本で就労できるというものではありません
このお知らせは、特に日本滞在中に難民認定申請をすることによって在留資格を変更する短期訪問者(短期滞在)の皆様に向けたものです。難民認定は本国における迫害から逃れて来日した難民が日本に保護を求めるための制度であり、日本で就労することを希望する人のための制度ではありません。2018年1月14日までは、難民認定申請をした人は、申請から6カ月を経過後、一般に就労を許可されていました。しかし、法務省入国管理局は、2018年1月15日、この運用を見直し、1951年難民条約上の難民に明らかに該当しない申請者は、難民認定手続き中であっても、日本での在留も就労も許可されません。そのような申請者は、在留期間の経過後、出国のための手続き(退去強制手続きを含む)の対象となります。
2021年の難民認定者数74人、過去最多の認定者数になるも認定率0.7%
なぜ難民認定率が低いのか
①就労目的による難民認定申請を防止するため
②難民の定義が狭いため
日本が加入している難民条約では、政治亡命者が念頭に置かれているため、紛争や内戦による難民は当てはまらない点があり、迫害を受ける可能性についての証明が求められますが、迫害の程度にもよります。
難民申請を繰り返す外国人は最終的にどうなるのか
2018年に難民申請の運用が変わる以前は、難民申請をすれば6ヶ月の特定活動ビザが与えられ就労も認められていました。難民申請の認定には数年かかるため、元留学生や技能実習生など、もともとの在留資格が更新できなくなったなど何らかのトラブルがあった外国人が、最後にお金を稼げるだけ稼ぐために難民申請をおこなうといった、本来の趣旨とは異なった使い方がされていました。
運用変更後、本当に難民であろうと思われるケース以外は、一切就労許可が下りなくなりました。
例えば、
・本来の在留資格に該当する活動を行わなくなった後に難民申請を行った場合
・出国準備期間中に難民申請を行った場合
具体的には、
・元留学生で学校を辞めてしまったが何とか日本に残りたいと難民申請をした
・就労ビザの更新ができなかった、このままで帰国したくないから難民申請をした
このような場合には、難民申請をしても日本では働くことができなくなりました。
これまでに難民申請や審査請求を何度も繰り返してきた人に関して、最終的には、ビザを更新してもらえずに帰国することになります。
難民申請から他の在留資格に変更できるのか
絶対にできないわけではありませんが、他の在留資格に変更することはかなり難しいといえます。
もともと、他の在留資格に変更が可能であれば難民申請を選択することは考えにくいため、難民申請に手を出した時点で他の選択肢はなかったといえます。
難民申請を行ったこと自体が、他の在留資格に変更するにあたって大きなマイナス要素になるからです。
特に難民申請を繰り返している方の場合、権利を濫用をしていると判断される可能性が高いため、他の在留資格に変更する事は非常にハードルが高いと言えるでしょう。
一度帰国をして、在留資格認定証明書交付申請でいちから在留資格を取得してやり直すことも、選択肢のひとつとしてご検討ください。
在留資格申請について、お困りの際はご相談ください。
文/岡田裕子(おかだ ゆうこ)
申請取次行政書士、行政書士さくら法務事務所代表。
一般社団法人アジア国際交流センター協会ビザ取得アドバイザー。
外国人や外国人を支援する人たちに向けて、おもに在留資格に関する情報を発信している。
