就労ビザという名前のビザはありません。
ビザにはたくさんの種類があります。
そのなかで、就労が可能なビザの総称として就労ビザと呼んでいます。
ここでは、外国人雇用の場面でよくでてくる就労ビザ5つの在留資格を確認しましょう。
①技術•人文知識•国際業務ビザ
留学生たちが卒業後取得したいビザNO.1ともいえるのが、この「技術•人文知識•国際業務」
名称が長いため頭文字をとって技人国(ぎじんこく)と呼びます。
大学や大学院、専門学校を卒業した高学歴な外国人が就職する場合に取得できるビザです。
専門知識を生かして働くホワイトカラーの職種が該当します。
例えば、通訳や翻訳、デザイナー、システムエンジニアなどコンピューター関連のお仕事や機械系のエンジニアなど。
営業やマーケティング、経理、貿易などの事務職も該当します。
高学歴な外国人に働いてもらうための在留資格ですから、アルバイトのようにすぐ教えれば誰でもできるような単純労働をさせることはできません。
また、大学などで専攻した内容と職務内容に関連性があることが重要です。
ビザの審査の重要度でいえば、全体の8割くらいは占めていると思っていいでしょう。
そのくらい大切な部分です。
ビザの申請には、外国人が自分の学歴や職歴等を証明するための書類のほか雇用契約を結んだ企業の書類も多く提出する必要があります。例えば、決算書類など。
企業の規模が小さくなれば小さくなるほど提出する書類が多く、就労ビザの取得の難易度が上がります。
②技能ビザ(調理師など熟練した技能職)
外国人が日本の外国料理専門店で、調理師として働くためのビザです。
中華料理、韓国料理、タイ料理、インド料理などの外国人の調理師が該当します。
技能ビザ取得のポイントは3つ
①10年以上の実務経験があること(タイは5年)
調理師として働いてきた経験を証明する、在職証明書等で証明します。
実務経験にプラスして専門学校などで料理について学んでいた期間も合算することができます。
入国管理局は在職証明書が本物かどうかお店が実在するのか詳細に調査をします。
すでにお店が廃業していたりしてお店の関係者と連絡が取れなかったりする場合、実務経験の証明ができずにビザが申請できない。申請しても不許可になることが多くあります。
確実に10年以上の期間、実務経験の要件をクリアしていることが必要です。
②外国料理の専門店であること
ラーメン店や居酒屋、ファミレス、日本料理店では、技能ビザは取れません。
「外国において考案され、わが国において特殊なものについて営業する専門店」が技能ビザの許可の対象となっています。
単品料理だけではなくコースメニューも用意していることが前提です。
③座席数の規模
カウンター席しかないなど、あまりに小さな店舗ではビザの取得が難しくなります。
座席数が20〜30席程度あれば安心です。
③企業内転勤ビザ(国をまたいだ人事異動)
企業内転勤ビザを必要とする外国人は、人事異動や転勤で日本で働くことになった外国人社員です。
海外にある日本企業の支社から日本の本社へ異動になる場合や、その逆に海外本社から日本の支社に転勤するケースも考えられます。
企業内転勤ビザでいう転勤の考え方は次の7つです。
①親会社•子会社間の異動
②本店•支店•営業所間の異動
③親会社•孫会社間の異動
④子会社•孫会社間の異動
⑤子会社間の異動
⑥孫会社間の異動
⑦関連会社への異動
関連会社への異動も可能となっており、幅広く認められています。
企業内転勤でできる業務内容
企業内転勤ビザでできる業務は「技術•人文知識•国際業務ビザ」で行うことのできる仕事範囲です。
しかし、技人国のビザで必要とされる学歴、実務経験の要件はありません。
企業内転勤ビザを申請するためには、「直近1年間に外国にある本店や支店で勤務していること」が必要です。
まとめると次のようになります。
①転勤の直前に、外国にある本店•支店その他の事業所において1年以上継続して「技術•人文知識•国際業務」に当たる業務に従事していること。
②日本人と同等以上の報酬を受けること
大卒以上などの学歴の要件はありませんが、単純労働は認められないという点に注意が必要です。
④経営管理ビザ
経営管理ビザは、外国人経営者や役員が取得するビザです。
自分でお金も出してビジネスを始めるオーナー社長か、それとも雇われ社長、役員に就任する。
主にこの3つのパターンでビザの取得要件が異なっています。
出資して経営管理ビザを取得するための条件
- 1人で500万円以上の出資
- 事務所と自宅は別にする
- 学歴は問われない
出資せず雇われ社長または役員で経営管理ビザを取りたい場合
- 役員等の会社を管理する職務に就くこと
- 3年以上の実務経験があること(事業の経営や管理の実務経験がある、または大学院で経営や管理を専攻していた期間を含むことができる)
- 会社が相応の規模であること
従業員2人以上の雇用が必要?
経営管理ビザを取得する場合に、2人以上の従業員を雇用しなくてはならないのかとよく質問をうけます。
結論からいうと2人以上の社員を雇用していなくても経営管理ビザは取得可能です。
経営管理ビザの取得要件は、「2人以上の社員を雇用する規模の事業であること」とされています。
そこで、500万円以上の投資が行われていれば、2名以上の社員を雇用する規模の事業とみなされるのです。
⑤特定活動(インターンシップ)
海外在住の外国人大学生を教育課程の一部としてインターンシップで日本に呼び寄せることがあります。
現地の大学と日本側の会社の間でインターンシップに関する契約書を作成していることが前提で、この契約書には大学で単位として認められることの記載を入れておきます。
インターンシップで在留可能な期間が決まっており、4年生の大学の場合で最長2年となります。
インターンシップの期間と報酬が出るか出ないかによって取得するビザが3種類に分かれます。
報酬が出る場合に取得するのが「特定活動ビザ」
報酬が出ない場合で、滞在期間が90日を超えない場合が「短期滞在ビザ」、滞在期間が90日を超え最長1年を超えない場合は「文化活動ビザ」を申請します。
短期滞在ビザ文化活動ビザの場合は報酬の支払いがないとされていますが実費の支給は可能です。
例えば、交通費(航空券含む)や家賃補助、食費等です。
特定活動ビザの場合報酬が発生することから、就労ビザの1つとして考えられています。
そのため大学の専攻と職務内容の関連性が必要になります。
反対に、文化活動短期滞在の場合は報酬が発生しないため、外国の大学の専攻に関係なく取得することが可能です。
今回は就労ビザの代表的な在留資格についてまとめました。
文/岡田裕子(おかだ ゆうこ)
申請取次行政書士、行政書士さくら法務事務所代表。
一般社団法人アジア国際交流センター協会ビザ取得アドバイザー。
外国人や外国人を支援する人たちに向けて、おもに在留資格に関する情報を発信している。
【参考書籍】
必ず取れる就労ビザ!外国人雇用ガイド
著;小島健太郎
