※出入国在留管理庁に公開されているホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について(最終改定令和3年3月)より、在留資格の該当性に係る考え方及び許可・不許可に係る具体的な事例について紹介しています。
①在留資格に該当する活動
例えば、本邦もしくは外国の大学または本邦の専門学校を卒業した外国人がホテル・旅館等の宿泊施設における業務に従事する場合、地方出入国在留管理官署において「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更許可申請」を行うことが必要です。
この場合、一般的には入管法別表第一のニの表の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への該当性を審査することになります。当該在留資格に該当すると認められるためには、申請人が従事しようとする業務が「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野もしくは法律学、経済学、社会学その他の人文化学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務」または「外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務」でなければなりません。
また、以下の(1)または(2)の要件、かつ(3)の要件を満たす必要があります。
なお、日本で従事しようとする活動が、入管法に規定される在留資格に該当するものであるか否かは、在留期間中の活動を全体として捉えて判断することとなります。
したがって、下記の活動に該当しない業務に従事することは認められませんが、それが企業における研修の一環であって当該業務に従事するのは採用当初の時期にとどまる、といった場合には許容されます(許可事例④および不許可事で⑥参照)。
このようなケースに該当する場合には、当該企業に雇用される従業員(日本人を含む)の入社後のキャリアステップや各段階における具体的な職務内容と当該研修の内容との関係等に係る資料の提出をお願いすることがあります。
また、業務に従事する中で、一時的に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務を行わざるを得ない場面も想定されます。(例えば、フロント業務に従事している最中に団体客のチェックインがあり、急遽宿泊客の荷物を部屋まで運搬することになった場合など)こうした場合に当該業務を行ったとしても、入管法上直ちに問題とされるものではありませんが、結果的にこうした業務が在留における主たる活動になっていることが判明したような場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行っていないとして、在留期間更新を不許可とする等の措置が取られる可能性があります。
(1)申請人が「自然科学または人文科学の分野に属する技術または知識を必要とする業務」に従事しようとする場合は、従事する業務について次のいずれかに該当し、これに必要な技術または知識を習得していること。
①当該技術もしくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
②当該技術または知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと※ただし、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されたものに限られます
③ 10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専修学校の専門課程において当該技術または知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
〈留意点〉
・従事しようとする業務は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術または知識を必要とするものであって、単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な技術・知識を必要とする業務でなければなりません。
・従事しようとする業務と大学等または専修学校に置いて専攻した科目とがある程度関連していることが必要となります。なお、①の大学(本邦所在・外国所在を問わない)を卒業したものについては、大学の教育機関としての性格を踏まえ、専攻科目と従事しようとする業務の関連性は比較的緩やかに判断することとしています。
(2)申請人が「外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務」に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
①翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
② 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業したものが翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。
〈留意点〉
・当該業務は、外国に特有の文化に根ざす一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とする業務であって、外国の社会、歴史・伝統の中で培われた発想・感覚を下にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものでなければなりません。
(3)日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。
次回は具体的な許可・不許可事例についてご紹介します。
文/岡田裕子(おかだ ゆうこ)
申請取次行政書士、行政書士さくら法務事務所代表。
一般社団法人アジア国際交流センター協会ビザ取得アドバイザー。
外国人や外国人を支援する人たちに向けて、おもに在留資格に関する情報を発信している。
